発達障害のキソ知識〜ASD編⑥〜
- サポート教室かたつむり
- 2021年12月13日
- 読了時間: 4分

「発達障害」
よく耳にするけれど、何となくしかわからない・・・
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
知っているようで知らない?身近な障害「発達障害」について、一緒に学んでみませんか?

「発達障害」とは、生まれつき脳のはたらき方が通常と違うために、幼少時から特異な行動や特徴が見られる状態のことです。
主に
・ASD(自閉スペクトラム症)
・ADHD(注意欠如多動症)
・SLD(限局性学習症)
の3つを指すことが多いですが、他にも、
・DCD(発達性協調運動障害)
・チック障害
を含むこともあります。
今回は、これらのうち、ASD(自閉スペクトラム症)について紹介していきます!
*今までの投稿まとめ*
<概要>
ASD(自閉スペクトラム症)とは、生まれつきの脳の機能障害で、発達障害の一つです。発症の原因はまだわかっていませんが、遺伝や環境など、多数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
<症状>
ASDは、「コミュニケーションの難しさ」「こだわり」「感覚のかたより」など、多様な症状を見せます。症状の現れ方は十人十色で、同じ症状の人は二人としていないともいえるでしょう。
<歴史>
ASDは1943年のカナーの報告、1944年のアスペルガーの報告以来、いろいろな角度から研究されてきました。近年では、ASD関連の疾患を細かく分類するのではなく、「自閉スペクトラム症(ASD)」とまとめて呼ぶことが多くなってきました。
<ASDかもと思ったら?>
・相談する
園や学校の先生・公的相談機関・かかりつけ病院・専門病院 など
・今できることをする
情報をまとめる・かかわり方を変える など
<ASD支援の基本:SPELLの原則>
ASD支援では、次のことを大切に考えます。
・Structure(構造化する)
・Positive(肯定的に)
・Empathy(共感する)
・Low arousal(穏やかに)
・Links(つながる)
今回は、ASDの支援方法「TEACCH」についてご紹介します!
TEACCHは
Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren
(訳:自閉症やそれに準ずるコミュニケーションに課題をもつ子どもへのケアと教育)
の頭文字をとった名称です。
TEACCHとは、1972年にアメリカ・ノースカロライナ州で始まった、ASD支援のためのプログラムです。アメリカで行われているTEACCHは、「地域ぐるみ」で「生涯」ASD児者の自立を支え、QOLの向上をはかる包括的なプログラムです。
日本で行われているTEACCHは、アメリカでのプログラムの考え方や手法など、TEACCHのエッセンスを、支援に生かしているものです。
TEACCHの考え方のうち、いくつかをご紹介しましょう。

<考え方①:ASDの文化>
TEACCHでは、ASD児者の一般とは違う行動を「文化」として捉えます。ASD児者は、一般とは違う世界の捉え方をしています。一般的な常識に無理に合わせさせるのではなく、ASD児者の文化を理解したうえで、ASD児者が適応し、自立しQOLを上げられるように、環境を整えます。

<考え方②:構造化>
TEACCHにとって、「構造化」という考え方は非常に重要です。構造化とは、ASD児者が状況をわかりやすくするために、環境を整理することを表します。
「今、何が起こっているの?」
「今、何をしたらいいの?」
を、わかりやすく伝えます。
次に、TEACCHで使う具体的な方法を4つご紹介します。
① 物理的構造化
② 個別のスケジュール化
③ ワークシステム
④ 視覚的構造化
それでは、1つずつ見てみましょう!

<方法①:物理的構造化>
「この場所では何をしたらいいか」をわかりやすくします。ダイニングではごはんを食べる、寝室では眠る、というように、活動と場所が一対一で対応するようにします。また、場所をわかりやすくするために、家具やパーテーションで仕切りを作ったり、カーペットなどで床の色を変えたりして工夫します。

<方法②:個別のスケジュール化>
「今、何をしたらいいか」「これから何が起きるか」をわかりやすくします。写真やイラスト、文字などの視覚的な情報を使って、スケジュールを提示します。スケジュールは、何を提示するか、どう提示するかなど、個別にあったものを作成します。

<方法③:ワークシステム>
「一人で自立して」一連の作業ができるような仕組みを作ります。
・どんな活動をするの?
・どれくらいの時間(または量)をするの?
・いつ終わるの?
・終わったら何をするの?
が、見てわかるようにします。

<方法④:視覚的構造化>
話し言葉ではなく、視覚的な情報を使ってコミュニケーションを整理し、わかりやすくします。視覚的な情報は、それぞれに合わせて、実物・写真・イラスト・文字などを使います。
TEACCHは、ASD児者の自立を促すプログラム。誰しも「人に言われてわからないことをやる」よりも、「自分でわかってやる」方が良いですよね。ASD児者のQOL(生活の質)を上げるために、ぜひ、身近なところから取り入れてみてくださいね!
いかがでしたか?
次回は、もう1つの支援方法、「ABA」について解説していきます。
ぜひ、ご覧くださいね!
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